ロボット
人型ロボット「ペッパー」は認知症予防に役に立つ?効果があるワケとは

今や日本の65歳以上の高齢者人口は3190万人。総人口1億2730万人の約4人に1人が高齢者です。(平成25年内閣府発表、高齢者白書より)高齢化が進む日本で、高齢者に関連した様々な社会問題が危惧されています。
その中でも脳細胞が死んだり、働きが悪くなることで、生活に支障をきたす「認知症」の増加は特に大きな問題です。認知症患者の数は2025年には730万人になり、65歳以上の5人に1人が認知症になると言われています。
そんな認知症の予防に新たな可能性を提示しているのが、ソフトバンクが2014年に発表したロボット「Pepper」です。
Pepperとはどんなロボットなのか。なぜ認知症予防に役立つか。情報をまとめました。
感情を持った世界初のロボット「Pepper」
Pepperはソフトバンクが2014年に「世界初の感情を持ったパーソナルロボット」として発表され、多くの注目を集めました。
人間の言葉や表情にから感情を読み取り、人間とコミュニケーションが取れるPepperは様々な分野で活用が期待されています。
感情を読み取るとは?
Pepperには相手の音声や表情を認識するセンサーと共に、「感情認識エンジン」が搭載されています。
会話の中で相手の反応を認識・分析をして自律的に学習することで、相手の感情を理解し、空気を読んだ会話をすることが可能となっています。
決められたパターンのみの会話だけが繰り返されるのではないため、あたかも人間を相手にしている様な自然なコミュニケーションを取ることができます。
活躍が期待される分野
工場などでの単純作業を行うロボットなどとは異なり、人とのコミュニケーションが求められる分野での活躍が期待されています。
例えば人員不足が懸念されるサービス産業での接客業務や高齢者の介護分野などでの活躍が期待されており、今回の記事のテーマでもある「認知症予防」などのヘルスケア分野も活躍が期待されています。
認知症とは?
冒頭で「65歳以上の5人に1人が認知症になる」と言いましたが、認知症とはそもそもどういったものなのでしょうか。
厚生労働省のサイトには下記の様に記載されています。
「認知症とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったためにさまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態(およそ6ヵ月以上継続)を指します。 認知症を引き起こす病気のうち、もっとも多いのは、脳の神経細胞がゆっくりと死んでいく「変性疾患」と呼ばれる病気です。 アルツハイマー病、前頭・側頭型認知症、レビー小体病などがこの「変性疾患」にあたります。 続いて多いのが、脳梗塞、脳出血、脳動脈硬化などのために、神経の細胞に栄養や酸素が行き渡らなくなり、その結果その部分の神経細胞が死んだり、神経のネットワークが壊れてしまう脳血管性認知症です。」
上記の様に認知症は、普段の生活に様々な支障をきたします。主な症状としては、記憶障害、計算力障害、感情障害、異常行動などが挙げられ、本人だけでなく、その支援をする家族や周りの人々にとっても精神的・経済的に大きな負担となります。
しかし、現時点では根本的な治療薬はありません。そのために認知症にならないための予防と、もしなってしまったとしてもその進行を遅らせるような対処が重要になってきます。そこに対して大きな可能性を秘めているのが、「Pepper」なのです。
なぜペッパーが認知症予防に役立つ?
認知症の予防に関しては、脳の状態を良好に保つことが大事だといわれています。
そのために食生活を見直すこと、運動をすること、文章を書いたり読んだりすること等が推奨されていますが、「人と接し、コミュニケーションをとること」も予防や進行を遅らせることに効果的だといわれています。
2015年2月に行われたPepper向けのアプリケーション開発コンテストで最優秀賞を獲得したのは、まさにこの認知症サポートを目的とした「ニンニンPepper」というアプリケーションでした。
Pepperは高いコミュニケーション能力を有しているために、話し相手にもなりますし、常時インターネットに接続しているので、Pepperを通じて遠方の家族とコミュニケーションと取ることも可能です。コミュニケーションに特化したPepperだからこそ、認知症の予防に役立つことが期待されているのです。
また、日々のやりとりの記録も蓄積されていくので、それを基に医師が対応をすることなども近い将来可能になるでしょう。
まとめ
大きな社会問題の1つの「認知症」対策として、コミュニケーションに特化した感情を読み取るロボット「Pepper」に大きな期待が寄せられています。
より良い社会は、これからは人だけでなくPepperの様な新しい「ロボット」と共に作られていくのかもしれません。
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